三周年記念
三度目の手紙
〜3年目のありがとう〜
赤と緑の双子が、こちらを向いて立っている。
「地震の話は、聞いた。本当に、大変だったな」
「被災者の方に、ご冥福とお見舞いを申し上げます。……こんなの、ひどいよ」
二人とも悲痛な顔で、ルイージは目に涙まで溜めている。
それでも、二人は真正面を見つめた。
「俺たちだって、今すぐ駆けつけたい。でも、できないのはわかってるよな?
だけど、俺たち自身がみんなの元に駆けつけることができなくても、
俺たちの気持ちは、誰かにきっと伝わっていると思う。
大切な誰かのために何かをしたい。最後まで、あきらめない。
俺たちは行けない。だから、俺たちの気持ちを受け継いだ君が、できることをするんだ」
「被災地以外にいる君にも、できることはあるよ。
留守番してる僕が、兄さんにできることだってあるんだから。
今も、がんばってる人がいることを忘れないで。
そしていつまでも、最後まで、応援してあげて。
僕が兄さんのことを忘れて、兄さんが帰ってきた時に、
誰もいない暗い家だったら、寂しいと思うんだ。
忘れないで、応援して、暖かく迎えてあげてほしいんだ」
キッとした表情がやわらかくなり、二人の顔に優しい笑みを作った。
「ありがとう。どうか俺の代わりに、大切な人のヒーローになってやってくれ」
「ありがとう。どうか僕の代わりに、最後まで忘れないで、応援してあげてね」
「「君が、ここに居てこれを見てくれている事に、どうもありがとう」」
双子が、それぞれの笑顔でそう言った。
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