涙なんて、とうの昔に忘れていた。
だから、感情のままに涙を流せる君が、ほんの少しだけ羨ましかった。
最初は、本当にそれだけだったんだ。
さいごの最期まで、舞い続けましょう
「まいったか、ディメーン!」
”ふん! まいったか、ディメーン!”
彼の言葉や、
「うひゃあぁああぁっ!?」
”うわぁっ!? お、脅かすんじゃねぇ!!”
ちょっとした仕草に、『君』を探してしまうようになった。
『早く行こう兄さん!』
『兄さん、ここは僕に任せてくれない?』
だからこそ、『君』じゃないことを痛感する。
自分勝手なのは分かってる。
『君』に最期の子守唄を唄ったのは、他でもないボクだから。
なのに、なんで『君』は……。
”馬鹿野郎。泣くくらいなら、始めから……っ!”
最期まで、優しかったのさ。
「え、うわわっ!?」
「ルイージッ!」
「その芽は、いつかの……っ!」
「んっふっふっふっふ〜。」
いつかロック人たちを洗脳させた、ハナーンの種を失敬していた。
もちろんそれも、計画通り。この時のために、入念に準備をしてきた結果だ。
「ぐっ、い、やだ……っ。僕は……っ!」
「あらら〜、なかなかしぶといねぇ」
「ルイージ! しっかりしろ!」
「ぼ、くは……っ」
だが、肝心の『ミドリの男』が素直に洗脳にかかってくれない。
まぁ、当然といえば当然のような気もするが。計算の範囲内だ。
だからこそ、幾度も『君』の名前を呼んだんだ。
感情なんて、いらない。なのに。
頭を抱えて蹲る『ルイージ』。
身体の自由が利かなくなってきても、諦めないで必死の抵抗を続けている。
ねぇ、『君』はそこに居るんだろう?
「……エリリン」
「……っ!」
彼の身体が、一瞬ビクッと震える。何かを怖がるように。
ほら、諦めないのも、怖がってるのも、『君』だろう?
ボクが欲しいのは、もはや『ミドリの男』でも、『ルイージ』でもない。
「違……。嫌だっ、いや…」
"いつまでも『兄さん』の陰に隠れてることが?"
「…っ!」
ボクの言葉に反応するかのように、動きが止まった。
ほら。それこそ、『君』がいる証拠じゃないか。
"だったら、ボクと一緒にヒゲヒゲ君を倒そうよ"
「ぼ、くは……っ!」
「ルイージ、おい、しっかりしろ! ルイー"ね、エリリン?"
マリオの言葉を遮るように、ディメーンがその名を重ねる。
ボクが欲しいのは、同じ姿をした『エリリン』だ。
『彼』が、握っていた勇者の手を振り払った。
これでいいじゃないか。
なのに、どうして『君』はそんな辛そうな顔をするんだい?
悲しみなんて、きっと気のせい。
「っ!? ルイー……」
「お、れ……は……っ!」
驚愕に目を見開く勇者達の目の前で、ルイージの周りをコントンのラブパワーが包んでいく。
瞬く間に、その姿が変わっていく。
変わってしまったその姿を、ディメーンは恍惚とも呼べる表情で見つめていた。
あぁ……。本当に
「……綺麗だよ、『エリリン』」
「ル、イー……ジ?」
さぁ、『君』とボクの、サイコーのショーを始めよう。
end.
とりあえず、D→Mr.Lでディメが病んでる小説を書きたかった(自重
しかも大幅捏造orz 台詞とかかなりエセですすいません。
ちなみに目線はディメ目線。じゃないとD→Mr.Lにかけなかった。
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