ねぇ、もしかしたらもしかすると






ボクの勘違いかもしれないんだけど







勘違い、しても良いのかな







甘酸っぱい優しさ







「じゃあ今日の当番を発表するぞー」




 一応、スマブラメンバーのリーダーに就いているマリオが、一枚の紙切れに目を落とす。




「掃除当番は、リンク・フォックス・オリマー・アイク・ピーチ、

 洗濯が、サムス・ファルコン・カービィ・ネス・ナナ、買い物がファルコ・リュカ・ウルフ。

 ルイージは今日は用事があって行けないらしいから、3人で行ってくれ。他は今日は休みだ。以上!」




 全ては、マリオの手にしたアミダくじが決めていた。

















「……」

「……」

(ど、どうしよう……凄く気まずい……;)




 近所のスーパーへの道中、買い物組の周りは始終沈黙が包み込んでいた。

 というか、むしろピリピリとした空気に包まれている。

 それは明からに、ファルコから一方的に溢れている。




「え、えっと、お二人は元々お知り合いだったんですよ、ね?」

「あぁっ?」

「……」




 かなり機嫌が悪いのか、ファルコはドスの効いた声で振り向く。

 一方、ウルフの方はリュカのほうを一瞥しただけだ。




(ボク、二人から、嫌われてる……?)(泣

「だったらどうしたんだよ」

「い、いえ……どういうご関係だったのかなぁって」




 その質問をしたとたん、再びファルコの周りから険悪な空気が溢れた。

 その殺気を隠そうともせずにウルフを睨みつける。




(こ、怖いよう……っ!)

「……ムカつく商売敵だよっ」

「……単にスターフォックスの一員にしか見てない」




 ウルフの態度にファルコの怒りのバロメーターはさらにあがった模様。

 一触即発(一方通行)な状況に、リュカは慌てて間に入る。




「あ、あそこのスーパーですね!!」

「――っ! 俺はアーウィンを取ってくる!!」

「えっ、ちょ、ファルコさん!?」

「……」




 スーパーを目の前に、ファルコが回れ右をしてどこかに消える。

 そのすばやさに、リュカは止める暇もなく立ち尽くしてしまった。




「……行くぞ」

「え、あ……はい」




 ウルフはすたすたと、ファルコの行動を特に気にする事もなくスーパーの中へ入っていった。

 リュカは、入り口脇にあった買い物籠を手に取る。




「あ……」




 比較的入り口に近かった青果コーナーが目に入る。

 そこには色とりどりの果物が並んでいた。




(あのイチゴ、おいしそうだなぁ……)

「おい、どうした」

「あ! いえ……」





 いつの間にかカートを引いてきたウルフが、リュカの手から買い物籠を取り上げる。




「あ……」

「……お前はカレールーを取って来い。15箱だ」

「は、はいっ!」




 リュカがレトルトコーナーへと走って行くのを確認して、ウルフは肉と野菜類の買い物を開始した。














 数十分後、財布を握ったリュカがレジで精算を待って並んでいた。

 ウルフはというと、奥のカウンターの方で空になったカートの横に立っている。


 リュカがカレールーを15箱持ってきた時には、既にカートの中は一杯になっており、ウルフの方の買う物は揃った状態だった。




(……さっきの、絶対ボク待たせてたよね……。カゴだって、持ってくれたんじゃなくて遅かったからだろうし……)

「合計34,780円になります」

「あ、はい……」




 と、沢山の野菜の上に一つの赤いものが目に入った。




「え……イチゴ?」

「はい?」

「あ、いえ……」




 沢山の野菜に埋もれていて気づかなかった。

 みずみずしい小ぶりの苺が一パック、隠れていたのだ。



 いつの間に……



 とりあえず他の客に迷惑になると思い、精算を済ませる。

 お釣りを待ってる間にウルフの方をちらりと覗くが、彼はそっぽを向いたままだった。

 精算の済んだ商品を袋に詰めながらリュカはウルフの方に話しかける。




「あ、あのウルフさん……」

「無駄口叩いている暇があったら早く詰めろ」

「は、はいっ!!」




 言われてリュカは袋に詰める手を早める。

 ウルフの顔はいつもと何も変わらない様に見えた。




 ……やっぱり、ボクの勘違い、だよね……。きっとウルフさんもイチゴが食べたかったんだよ……













 外でアーウィンに寄りかかって待っていたファルコは、珍しいものを見た気分になった。

 ウルフが両手に買い物袋を、もう一人のチビが買い物袋を一つ抱えている。

 どういう心境の変化なのか考えていると、ウルフの尻尾が目に入った。

 心なしか、リズム良く揺れている様に見える。




 えらく機嫌が良いじゃねぇか……




「あ、ファルコさん」

「中に入れろ。って、今日はカレーじゃなかったか? なんでいちごが……」

「あ、それは……」

「おい、さっさとしろ。こっちは二袋持ってんだ」

「あ、はい……ごめんなさいっ」




 ファルコは、苺とリュカと、ウルフ(の尻尾)を見比べる。




 あぁ、だからか……




 フォクッスに良い土産話が出来た、とニヤニヤしていると、ウルフが初めて感情をあらわに睨みつけてくる。

 それでもファルコは、ウルフの殺気の篭った視線などどこ吹く風で、ニヤニヤと肩を竦めていただけだった。








fin.











ジェニガタ様への、相互お礼小説です。ありがとうございました!
リクエストは『リュカとウルフ』。
イメージはジェニガタ様宅の二人を採用。キューンッて、ちゃんと書き表したかった!!
本家のほうでは大乱闘の様子を書かれていたので、こっちでは日常にしようと。
ちなみに最初ファルコはフォックスでした。でも狐は結構お母さん気質出しすぎてくれて、話が進まないっ;
結果→ファルコがめちゃガラ悪い子w本当はそこまで毛嫌いしてない設定。
苺も初めはメロンでした。でもこっそり買うとなると高すぎだろうと苺に。

総合結果→ウルフツンデレ過ぎwツンデレ設定、定着しそうw
いつの間にか、目標が日常キューン→ウルフの尻尾に変わってたっていう。
でも書いてて楽しかったですw




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