あなたに




優しい雨の、ハッピーバースデー





 雨の日のプレゼント





 外はものすごい勢いで雨が降っている。

 こんな中、外に出て行こうとする人がいたら、どうかしているだろう。




「本当に大丈夫? 雨すごいけど……」

「だ、大丈夫です!! というか、あの……なんでボク達なんですか?」




 ルイージから胸に抱えられる程度の四角い包みを受け取りながら、リュカが質問する。

 後ろでは、ウルフが腕を組んで立っている。無言の威圧感が、ピリピリと痛い。




「それは、多分その方がむこうは喜ぶだろうからね」

「そう、ですか……」




 ウルフの威圧感も、涼しい顔で流すルイージ。

 だが、リュカの外をうかがう様子に眉を八の字に下げて言った。




「ごめんね;どうしても今日中に持っていかないといけないから」

「いえ! 大丈夫ですよ!!」




 慌てて笑顔を作るリュカ。

 ウルフが玄関に向かったのを見て、その後ろに続く。




「あ、それじゃあいってきます! ルイージさん!!」

「いってらっしゃい。気をつけてね!」

「はい!!」

「……」




 玄関の扉を開けると、案の定、外は土砂降りの雨。

 リュカは傘を差そうとするが、両手が包みでふさがっていて差すことが出来ないことに気付いた。




「あ……」

「ほら」




 ウルフが自身の大きな傘を差して、リュカの方を振り返った。

 傘を軽く突き出すようにしている様は、まるで入れと促しているようで。




「でも……」

「いいから入れ。さっさと行かないと、帰りが遅くなる」

「は、はいっ!」




 急いでウルフの持つ傘の下に入ると、二人は出発した。

 大きめの傘ではあるが、二人も入ると多少窮屈に感じる。

 いつもはふさふさのウルフの尻尾が、今は大分濡れてしまっていた。




「あ、あの……すみません」

「……問題ない」

「ケーキ、喜んでくれるといいですね」

「……そうだな」




 大きめの箱を、うれしそうに眺めるリュカをウルフは横目で見ていた。

 その肩が少し濡れている気がして、傘を少しだけむこうに傾ける。

 と、突然辺り一帯に光が走った。少しだけ遅れて、轟音も。




「うわぁっ!!」

「……ただの雷だ。心配するな」

「でででも……」




 リュカは、肩をすくめて辺りをうかがう。実は雷はあまり好きではないのだ。

 ふいに、肩の辺りが温かいもので包まれた。




「え……?」

「……これなら大丈夫だろう」




 ウルフがリュカの小さな肩を抱き寄せていた。

 雨で冷え切っていた身体が、温まる。




「お前の身体、随分とつめたいな。さっさと渡して、帰るぞ」

「は、はい!」




 その状態のまま、二人は歩き出す。

 早くとは言うが、リュカの小さな歩幅にウルフが合わせる形だ。

 まだ時間はかかるだろう。

 それでも、目的地まではそう遠くはない。




fin.






ジェニガタ様へ、三周年お祝いに送りつけたものです!
ジェニガタ様だけ、欲しかったらお持ち帰りOKです。
あの二人はジェニガタ様のところにケーキを持っていってる設定です。
ウルフ変態染みてr(爆 別に変な気とか起こしてるわけじゃないからね!!
不器用でどうすればいいかわからないからあんな行動なだけなんだからね!!
…ウルフ(犬)の方も雷怖がってると面白かったかも(笑



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