屋根よーりーたーかーいー……






 みんなが 強く 育ちますように






 スマブラメンバーが寝泊りしている屋敷の正面で、メンバーが集まっている。

 空高くに掲げられた物を見て、マリオが感嘆の声を上げた。




「お、ちゃんと上がったなー。今年ももうそんな時期かぁ!」

「ここで、これ上げるの久しぶりだよねぇw持って来ておいてよかった!」

「やっぱり、これ立派ですよねー」

「……なんだ? これは」




 少し遠巻きにして見ていたアイクが、マリオとカービィ、マルスの元にやって来た。

 風になびく巨大なそれを、不思議な様子で見ている。




「あぁ、これは『こいのぼり』って言うんだ」

「アイク知らないの?」

「まぁ、僕たちの世界ではこういう行事はなかったですからね」

「……『恋のぼり』?」

「いや、『鯉のぼり』な」




 マルスがこいのぼりから目を離して、指を立てて説明を始める。




「ネスや、カービィが居た世界では5/5はこどもの日って言って、子供の成長を願う行事があるんですよ」

「……ネスとカービィは、世界は別だったよな?」

「そうなんだけどー、ネスと同じ世界から来た子が一人居たからさ。アドレーヌって言うんだけど、いろいろ教えてもらったの!!」

「で、ここのメンバーにも子供層がたくさん居るだろ? だから、やろうって話になってな」

「そうか……」




 再びこいのぼりを見上げて、アイクは首を傾げる。




「でも、なんで鯉なんだ? 子供の成長を願うんだったら、肉とかの方がいいんじゃないのか?」


「なんで肉」


「いや、大きく育つだろうと……」


「何でも、いろんな魚がある滝を登ろうとした中で、鯉だけがそれを成し遂げたからだそうですよ。

 それから、鯉の滝登りって言うのが出世とかの象徴になったと聞きましたけど」


「……俺は、ゼルダ登りのほうが強い気がする」


「……まぁ、それは言うな;あんまり思い出したくない思い出だ;」




 マリオとマルスが、それぞれ目を逸らした。

 と、そこでカービィがふと気づいたことを口にする。




「そういえば、女の子が少ないねー。どこ行ったんだろう?」

「女性の皆さんなら、キッチンで柏餅を作ってる途中ですよ」

「ルイージも一緒になって作ってるから、行ってきたらどうだ?」

「そうする! じゃあね皆ーw」

「あ、カービィさぁん!? どこ行くんですかぁっ! 抜け駆けは許しませんよぉ!!」




 カービィが飛んで行く。キッチンへ一直線だ。

 それを見て、何か感じたのだろうヨッシーも後に続いて行った。

それを眺めた後、もう一度こいのぼりへと目を向ける。




「……まぁ、結局は迷信だな」

「おいおい;何もそんな、夢をぶち壊すような事言わなくても;」

「そうですよ。せっかくの年一度の行事なんですから、楽しみましょう」

「まぁ……」

「それに」




 見上げたこいのぼりの鯉は、どれも気持ち良さそうに風の中を泳いでいる。

 その姿からは、滝を果敢にも登っていった姿は想像出来ないくらい、平和な雰囲気が漂っていた。




「迷信だと分かっていても、願いたい時って、あるだろ?」




 そう言ったマリオは、英雄の姿からは程遠い、ただの一人の大人にしか見えなかった。

 隣に立って、同じように空を見上げているマルスも同様。

 到底、自分と同じように戦場に居た人間の顔とは思えなかった。




……ここの環境が、こんなにも変えるのか




 マリオとマルスから目を離して、周りのメンバーを見渡す。

 マリオやマルスだけではなく、ここに居る皆がそうであるように思った。




「……そうだな。悪くない」







 自分も同じような顔で、こいのぼりを見上げていることに、アイクはまだ気づいてない。







fin.






「叶うか分からない、でも祈りたい」

アイクは、元々は、ムービーで先走ってるのみて『喧嘩っ早い子だな』と思って、
次にいろんなサイト様のアイクを見てると、『肉しか頭にないボーっとした子だなぁ』と。
なのに、現実主義者になっちゃってorz や、悪くはないけど、冷たい感じに;;
あとは、アイクだし、マルス出すべきかなぁって途中で無理やり入れました。ファン多いし。
でもやっぱり一番いいところは兄貴が持って行っちゃっいました。兄貴強し。




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