宴も過ぎ、子供たちが夢を胸に眠りにつくとき……。
この夜に限り、世界は光に包まれる。
聖夜の想い
「っあー! 今夜は徹夜だったなぁ!」
「そうだね。でも毎年やりがいがあると思ってるよ、僕は」
二人して顔を見合わせる。自然と笑みがこぼれた。
配るべき子供たちにはもう、プレゼントは配り終えた。
明日素知らぬ顔で子供たちに会うためにも、早く寝ないといけない。
そそくさと部屋に戻ろうとするマリオだったが、自分の扉に手をかけたところで空気が変わった。
「兄さん? どうし」
「しっ。……中に誰か居る」
「!?」
異変を感じたルイージも、マリオの横に来る。
物音は特に聞こえないが、扉越しでも確かに気配を感じた。
そっと目配せをした後、二人は同時に頷く。
扉を一気に開いた。
「誰だ……っうわ!」
冷たい風が吹き込んできた。小さな白いものも混じって見える。
……雪だ。
部屋の窓が大きく開け放たれていて、そこから風が吹いているようだった。
思わず両手を挙げて庇った先に、二人は大きな人影を見た。
赤と白を基調とした服。自分達とはまた違った立派なヒゲ。
その奥で、人影が微笑んだ気がした。
ざぁっという音と共に人影は消え、大量の雪が窓の外へと舞っていった。
風もやみ、部屋には開け放たれた窓と、呆然と立ち尽くす双子の姿しかなかった。
「……ねぇ、兄さん。さっきのって」
「まさか、だよな……ルイージ」
宴も過ぎ、子供たちが夢を胸に眠りにつくとき……。
この夜に限り、世界は奇跡に包まれる。