たまには こんな





平和な時間も必要だなと思う訳で







束の間の休息






「ほらっ! ねっ、ここ涼しいでしょ!!」

「ほんとだ……。良くこんなところ見つけたな、お前ら」




 深緑に包まれ、苔むした岩場に清涼なせせらぎが絶え間なく続いている。

 木洩れ日に照らされた小さな川は、深くはないが幅があって、子供達がのびのびと遊ぶのに丁度いい。




「前に集まった時に、ぼくとピカチュウで見つけたんだよ!」

「今では僕たちの秘密基地だけどね」




 カービィ、ネスに続いて、暑そうだったからフォックスにも特別に教えてあげたの!というピカチュウの頭をなでてやる。

 ありがとうな、という言葉も聞かずに、すぐに川へと飛び込んで行った。




「僕1ばーん!!」

「あっ! ピカチュウずるい!!」

「待つでしゅ〜!」




 ピカチュウに続いてカービィやプリンも川に飛び込んでいく。

 川はもう、戦場になっていた。水掛け合戦。




「おいっ! あんまり遠くまで行くなよ!!」

「「はぁーい!」」

「フォックスは行かなくて良いの?」




 みんなの様に川に飛んで行かずに、律儀に靴と靴下を脱ぎながらネスがフォックスに言う。

 フォックスはというと、ちょうど木陰になっている大きな岩に腰掛けた。




「いや、俺はここで休んでるよ。昨日も暑い中対戦だったから」

「そう? じゃあ荷物よろしく!」

「はいはい。怪我しないようにしろよー」




 ネスも交えて水掛け合戦・2ラウンドが始まるのを、足だけ川の水につけて見ていた。

 毛皮だから、どうしてもこの時期は暑い。

 川の水はちょうどよい冷たさで、心地よかった。

 子供達が掬い上げ、他の人にぶつける事で出来る細かな水の玉が太陽に反射してキラキラと光る。

 それが、フォックス自身の仕事場である、宇宙に瞬く星を思い出した。




 ……そういや、この間の事件でまた、グレートフォックスの修理代で借金が増えたなぁ

 俺のアーウィンだけじゃなくて、ファルコのアーウィンも、スリッピーのも、ぺッピーのも……




 ぼんやりと先日の事件のことを思い出していた。

 修理代をメタナイトやデデデ大王に請求してもいいかもしれない。そうだ、ゼルダ(シーク)にも請求しよう。

 子供達の元気な姿を見ながら、そうささやかな決心をする。


 体が少し重く感じられ、後ろの岩にもたれかかる。

 日差しが少し暑すぎるが、川の近くで、しかも木陰にいる為、ちょうどいい涼しさだ。





 あぁ、でも……


 ここにいる間くらいは、そういうことを考えるのは止めよう……





 子供達の笑い声に束の間の平和を実感しながら、水の煌きの残像を残して夢へと堕ちた
















 ――フォックス? 寝てるの……?

 ――わぁ、ぐっすりだねぇ。もう少し寝かしといたら……?




 随分と遠くで、子供達の声が聞こえた。

 それで、夢の中からわずかに意識が浮上する。




 ……ん、……あぁ、寝ちゃったのか……。

 でも、もうちょっと……




 ――でも、もう夕方だよ……?

 ――だったら、こういうのは……

 ――……! じゃあ、せーので……

 ――せーの……!




 何するつもりだと、考える暇はなかった。

 眠っていたことで少し火照っていた身体に、突然、冷たい水がかけられた。




「ぶわっ!!??」

「あ、起きたー?」

「起きたー?じゃないっ!」




 川の冷たい水をぶっ掛けられたことで、一気に目が覚めた。

 みんなで一斉に掛けたのだろう。ずぶ濡れだ。




「もう夕方だよ! 帰ろう!!」

「はい、タオル」

「お前らなぁ……」




 無事だった尻尾に取り付くカービィに、タオルを差し出すネス。

 その他のみんなも、申し訳ないという顔はしていない。

 非常に満足そうだ。




「……十分楽しんだか?」

「「もちろんっ!!」」




 笑顔で満場一致な答えを出す。

 それを見たフォックスは、頭を拭いていたタオルを、乾かすように岩の上に広げた。また、使うから。




「そりゃあ、よかった。……そらっ!」




 仕返しとばかりに、両手に掬った水を笑っている子供達に向かってぶつけた。




「うわっ!」

「ひどいよぉ、フォックス!!」

「どっちが酷いんだ。それっ、もういっちょ!!」

「わぁ! 酷いでしゅフォックスしゃん!!」

「よぉし、みんなぁ! 反撃だ!!」




 ピカチュウの声を皮切りに


 本日何度目かの水掛け合戦が始まった。








fin.





1000hitお礼小説です!!本当にありがとうございました!!
本当は子供組の小説を書こうとしたんですが、何故かどんどん視点がフォックスへ;;
でも、黒ネタばっかり考えてる自分にしてみると、たまにこういうほのぼのを書くとほっとします。
あぁ、自分もちゃんとしたネタ書けるんだなぁと(何

もし気に入ってくださいましたら、お持ち帰りしていただいて構いません!!フリー小説ですので(いるのか?
転写もOKですが、ちゃんと作者表明をお願いします。月夜哀衣です。

配布は終了致しました。

ここまで読んで下さって、また当サイトまで足を運んでくださいまして、ありがとうございました!!(土下座
今後とも、よろしくお願いします!!


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