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ノベルゲーム
夏の夜の華






特徴的な鼻の頭を掻きながら、少し恥ずかしそうに言うマリオ。

そんなマリオを見て、少し微笑みながらピーチ姫は金魚すくいの店の前にしゃがむ。




「そうね。お祭りなんて久しぶりなんだもの。二つちょうだいな」

「あ、オレが払いますよ! ……また大きなお金出されちゃ困りますから」

「何よそれ。もうそんなことしません!」




頬を膨らませながらそっぽを向くピーチ姫に、マリオがポイと小皿を差し出す。

ピーチ姫はすぐに機嫌を直したように、喜んで受け取った。




「今度は私が多く取るわよ!」

「姫のやり方じゃ絶対取れないですよ」

「うるさいわね。気合いでなんとかなるわよ」




そう言ってピーチ姫は先程のリンクのように、水中の金魚に意識を移す。

水面近くを泳いでいる金魚に狙いをつけて、いっきにポイの端で一匹の金魚をすくい上げた。




「ほらできた! ……ポイを水中に入れておくのは掬う一瞬だけ、だったわよね?」

「……覚えてたんだ」




マリオはびっくりした顔を笑顔にして、ピーチの横に座り込む。

同じようにして、二匹一緒に金魚をすくい上げる。




「わぁ、すごい!」

「慣れですよ慣れ」




喜んでいるピーチに微笑みながら、またポイを水中に入れて金魚を掬った。



そうして、ニ、三匹の金魚を掬ったところで、辺りに気の抜けたような音が響いた。

二人が、何事かとそちらを、祭りでにぎわっている夜空を見上げる。

丁度良いタイミングで、夜空に花が咲いた。




「わぁ……!」

「花火ですか。綺麗ですね」

「本当!!綺麗……」




二人並んで夜空を眺めていたが、マリオがピーチの方をちらりと覗く。

夜の花に照らされたその笑顔は、いつにもまして綺麗に見えた。

その笑顔のためなら、何度だって。




「綺麗だな」

「そうね。すごく綺麗だわ」




マリオが自分の方を向いているとは気付かず、彼女は夜空の花を愛でた。










エンディング3 
すれ違う夜の花びら