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ノベルゲーム
夏の夜の華
クッパに呼ばれ、その場を離れるルイージ。
マリオやピーチ姫を金魚掬いの店に置いて、二人は随分と進んだ。
「ちょっと、どうしたのさクッパ? 兄さんたち置いてきちゃったじゃん」
「それが目的だから当然なノダ」
「は?」
クッパは、足早に一人でズンズンと進んでいく。
ルイージは駆け足になりながらその後を追った。
「ちょっと、どういうことなのさ? そっちには、ピーチ姫はいないよ?」
「……我輩だって、いい加減諦めたノダ」
「え……?」
ルイージの位置からは、クッパの表情は見えない。
だがその歩調は、幾分か遅くなった。
「いつもいつも、攫っては恋の悩み相談を受ける我輩の身にもなってみろ! しかもマリオとの!!」
「え、あ、そ、それはきついね……;」
「しかもこの間なんかは、結婚式をしてみたら危うく世界崩壊だゾ!? ……アレは効いたノダ」
「ああ……;」
声のトーンが一気に落ちる。同時に、クッパの周りの空気がどんよりと暗いものになった。
自分にも苦々しいあの事件は、クッパの心にも大きな傷を残したようだ。
「……だから諦めて、ピーチちゃんに幸せになってもらいたいノダ」
静かにそう言ったクッパの表情は、相変わらずルイージには見えない。
だが、それは相当の決心だったはずだ。
「クッパ……」
「だが、すんなり諦めるのは癪だから、これからも攫ってやるノダ」
「うわ、迷惑」
とたんに嫌な表情を見せるルイージの顔は、やはり前を行くクッパには見えない。
と、ある店の前でクッパが足を止めた。
焼きソバ屋のようだが、妙なことに誰の姿も見えない。
「……ここは?」
「ということで、貴様には今から此処で焼きソバ屋をやってもらうノダ!」
「は!? なんで!?」
「客への売り込みは既にしているノダ。ノコノコ達に感謝しろ。売り上げは8:2で山分けなノダ」
「僕、少な! せめて6:4!!」
「すいませーん。焼きソバ2ついいですか?」
二人が言い争いをしていると、若い女の子が声をかけてきた。
ノコノコ達の宣伝が効いたのか、その他にも何人かの人が集まり始めている。
「……しょうがないね。6:4だからね!!」
「つべこべ言ってる暇があったらさっさと作るノダ! 材料はこっちに用意してるゾ!!」
どたばたと準備に取り掛かる二人。
彼らの頭上に夜の花が咲くのは、もう少し先のことだ。
エンディング4
決意と優しさの華