雨が ぱらぱら 降ってゐる



 どうか 私に 色をください





モノクロ世界の通りすがり





 なんてことはない。ただなんとなく思い立ったから、雨の中の散歩に出かけただけだ。

 それでも、一人で行くのはなんとなくつまらなかったから、いつも一緒に居る二人を誘ってみた。それだけ。

 二人は快く承諾してくれた。

 メタナイトはアイクの頭に乗って、僕達二人は傘をさして歩き出した。

 風に翻ったマントが、雨に染みて重くなる。次に雨の中散歩へ出かける時には、マントは外していこうと思う。




「で? どこに行くんだ?」

「そうだね。とりあえず、町外れの公園まで行こうかと」

「分かった」




 それ以降、誰も何も言わずに静かに足を進める。

 元々、口下手な二人が一緒なのだ。それになんとなく、僕もおしゃべりな気分じゃない。


 梅雨のじめじめした雨や、夏の攻撃的な豪雨とは違う、形容するならば、さぁさぁと言うような優しい雨だ。

 元の世界でも、この世界に迷い込んでからも、こういうのを感じる余裕がなかったためか、少し新鮮に感じる。

 そうやって雨をしみじみと感じていたら、少しばかりアイク達に遅れた。

 傘を少し後ろに傾け、色の無い空を見上げる。

 と、目の端で赤いマントが翻った。




「……っ!」




 マルスがものすごい勢いで後ろを振り返る。

 しかし、当然の如く、そこには誰もいなかった。




「……」

「……マルス? どうした?」




 アイクが、アイクの頭の上に乗っているメタナイトが、マルスの突然の行動に足を止めた。

 だが、マルスは未だに虚空を見つめている。




 いまだタブーに負わされた傷が癒えていないマスターは、まだ本調子ではない。

 それ故、以前ではありえなかったような事態も起きている。

 不規則な世界融合も、その一つだ。




「おい、マルス?」

「どうした」

「……いや、何でもないよ」




 前に向きなおったマルスが、少し距離が開いてしまったアイク達の元へと駆ける。

 少しだけ、安心できたから。



 たった一瞬、すれ違った世界で、彼の表情はいつもの笑顔を浮かべていたから。



 ぱしゃりと跳ねた雨水が、青色のマントの裾を濡らした。




fin.






 遅くなってしまいましたが、6000hitお礼小説です! ……早く7000hitも書かなくては;
 なんだかマルロイみたいな小説ですけど、決してそうじゃないですからね!
 あくまでマルス+ロイなんですからね!!(主張
 ネタ探していたら、過去ネタ帳から冒頭のフレーズ発掘。
 そこから妄想を広げた結果です。雰囲気は結構好き。でも肉仮面が空気☆(何





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