たまに思うが
誰かと過ごすお茶の時間というのは
いいものだ
甘いクッキーと紅茶を
昼下がりの食堂に、ほのぼのとした笑い声が聞こえる。
だが、その場にふさわしいとは思えないようなものが入り口から侵入してきた。
本日の任務は食料調達だ。なんてことはない。
段ボールでごそごそと移動しながら確認する。
食堂には、談笑している者が二人。気付かれずにキッチンまで向かうことが目標だ。
「……何してんのスネーク?」
「!」
気付かれたっ!? ……いや、そんなはずはない。きっと話題に出たのだろう。
ひとまずは動かないでこの場をやり過ごそう。
「……オイこらそこの段ボール。シカトしてんじゃないぞ」
「……」
やはり気付かれていたか。さすがは一世界の英雄とその弟。
観念して段ボールから出ることにした。
「よく気付いたな。さすがはマリオとその弟」
「気付かないほうがおかしい」
「っていうか、ちゃんと名前で呼んでくれない? なんか付属品みたいでいやなんだけど」
食堂のテーブルでは、二人がお茶をしている最中だった。
詳しくは分からないが、紅茶のいい匂いが漂ってくる。
「いつも段ボールで移動してるのか?」
「まさか。ちょっと小腹が空いてな。キッチンに忍び込もうとしてた」
「無理だよ。キッチンのドア、オートロックだもん」
「何ッ!?」
キッチンのドアがオートロックだなんて、聞いたことがない!
キッチンを振り返ると、なるほど。確かにオートロックになっている。前代未聞だ。
「此処にはカービィとかヨッシーがいるからね」
「みんな自分の部屋に小型の冷蔵庫持ってるぞ。マスターに頼めば用意してもらえる」
「そ、そうか」
「ちなみに冷蔵庫もオートロックだよ。……小腹が空いたのなら、クッキー食べたら?」
紅茶の横に、焼きたてのクッキーが置いてある。
甘いにおいが、余計に空腹感を際立たせた。
「そうだな」
「食え食え! ルイージの作るやつは美味いぞー!!」
「姫が作るのとどっち?」
「もちろん姫」
二人がコントみたいなことをしているのを無視して、クッキーを一つ口に運ぶ。
程よい堅さのクッキーを口の中で砕くと、紅茶の風味と強くない甘さが口中に広がった。
市販の物なんかより、ずっとおいしい。
「……うまい。パティシエかなにか目指してたのか?」
「……いや、兄さんが冒険に連れて行ってくれないで留守番ばっかりだから。何かしてないと暇なんだよ」
「足手まといになるからなー」
「何だってー!?」
言いながら紅茶のお代わりを注ごうとするマリオの手から、紅茶のポットを奪い取る。
「あー!!」
「スネークは紅茶? コーヒー?」
「じゃ、コーヒーで」
「了解」
「嘘うそ! ルイージ、嘘だから! お代わりくれ!!」
「入れてくるよ。お砂糖いっぱい激甘のやつ」
「やめてくれ!!」
妙に主夫じみた弟に続いてキッチンに入ろうとするが、鍵がかかってしまい入れない。
中から聞こえてくる陽気な鼻歌に頭を抱えるマリオ。
それを見ていると、誰かと一緒に過ごすという事がとてもうらやましくなる。
同時に、不謹慎ながら今回の事件に巻き込まれてよかったとも思った。
fin.
一体どんな屋敷だ。オートロックキッチン
番号入力で入れるといい(何
スネークは実はクローンらしいですね!
ミュウツーみたいに試験管で育ってて、家族っていうのがいまいち実感わかないといい。
だからこそ、なんかよくわかんないけどこの状況がいいなぁと思ってる。
そして双子はいつもこんな感じだといい。あれがルイージなりのいじめ方w
疲れたときには甘いものが一番です。
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