マリオの目の前には、はしゃいでいるデイジー姫と、その話し相手をしているルイージがいた。
今日たまたまキノコ王国に用事があって、その帰り際によったのだという。
親しいとはいえ、一国の姫が家に来たときは本当に驚いた。
帰るまで少し話がしたいということだったので、家に入れたのだが、かれこれ1時間は経っている。
どちらがついでなのか、マリオには図りかねたが、幸せそうな彼女を見るとどうでもよくなった。
その長く続いている話の内容としては、
どれもそう特色のない、変に言えばくだらないものばかりだった。
だがそんな内容でも話は面白いくらいに弾んでいるし、二人の顔からは笑顔が絶えない。
見ているだけで自然とこちらも笑顔になってくる。
「それでね、衛兵が花壇に倒れこんだの!」
「ハハッ、それは見ていて面白かっただろうね!」
手にはルイージの入れたお茶と昨日ルイージが焼いたクッキー。
それとデイジー姫が持ってきた自称手作りのシフォンケーキ。
話している相手といい、机の上といい、非常に豪華な午後のひと時だった。
「兄さん、デイジー、おかわりいるかい?」
空になったカップを指差して、ルイージが言う。
マリオもデイジーもそれを断る理由なんてなかった。
「ああ、いただくよ。」
「私にも頂戴、ルイージ。」
「了解!じゃ、ちょっと行ってくるね。
あ、ついでに追加のクッキーも用意してくるよ。」
そう言ってルイージは器用に三つのカップを片手で持って、キッチンの方へ行った。
話がひと段落したのか、デイジーはソファに寄りかかった。
「ごめんね、マリオ。急に迷惑じゃなかった?」
「そんなことないさ、ルイージも喜んでるよ。」
「ルイージ」の単語を強く意識して言ったら、デイジーの顔がみるみる赤くなる。
わかりやすい反応にマリオは心の中で爆笑した。
「・・どうして途中から話に参加しなくなったのよ。」
恥ずかしがっているのか彼女は若干うつむきながらすねたように言う。
マリオは見ないフリをして平然と答えた。
「二人きりを邪魔しちゃまずいだろ?それに入る隙もなかった。いい雰囲気だったじゃないか。」
本音を言えばここから立ち去りたいくらいだったが、
さすがにそれはデイジーがかわいそうだし、鈍い弟が不審に思ってしまうだろう。
傍から見てもいいカップルだというのに、
と心に思いながらマリオはもうだいぶ少なくなったクッキーをつまんだ。
憎らしいほどにイイ顔をしているマリオにデイジーは反撃といわんばかりの言葉を投げかけた。
「・・あなたたちのようなバカップルに言われても真実味がないわね。」
デイジーの思惑通り、マリオは盛大にむせた。
「っ、げ、げほっ!」
クッキーのかけらでも穴違いしたのだろうか、非常に苦しそうだ。
デイジーはまだほのかに顔を赤らめたまま大笑いした。
「・・はーっ、いきなり何言い出すんだ。」
マリオにはもう先ほどまでの余裕そうな表情が消えていた。
むせた際に出てきた涙と赤いほほに幼さを感じる。
「とぼけたってだめよ。ピーチとマリオ、見ていていやになるくらいにいちゃいちゃしてるじゃない。
助けられる度にほっぺにチュー、なんて普通しないわよ。」
「あ、あれは姫なりの感謝の印であって・・。」
「・・本気で言ってるの?」
「・・って、待て、何でデイジーがそんなことを知っているんだ!?」
デイジー姫と一緒にピーチ姫を助けに行った覚えはマリオには無かった。
彼女はニヤと笑いながら頬杖をする。
「ピーチに教わった、って言ったらどうするの?」
その言葉を聞いた後のマリオの顔はそれは面白いものだった。
慌てふためいているのをこらえているようで、でもバレバレで。
デイジー姫は思わず笑ってしまった。
「冗談よ。ルイージに教わったの。いつもいつも目の前で嫌になるよ、って言ってた。」
「あいつ・・。」
頭にへらへらと笑う弟の顔が出てくる。
後で覚えてろよ、と呟きながらもマリオの顔は真っ赤になっていた。
「何もピーチに言わないの?」
ずけずけと聞いてくるデイジー姫にマリオは顔をしかめた。
どうにも彼女には弱い。帽子のつばを掴み下に下げ、顔をそれでも隠す。
「・・そうそう言えるものじゃないんだよ。」
「え?」
「・・あいつがうらやましいな。」
ぼそぼそと喋るマリオの言葉をデイジー姫は必死に聞こうと顔を近づける。
その彼女の口にマリオは笑いながら残っていたクッキーを一枚渡す。
「俺たちのことより、早くデイジーもルイージに伝えたらどうだ?」
クッキーをもぐもぐ食べながら、デイジー姫は再び顔を赤くした。
「・・・伝えられたら、苦労なんてないのよ、馬鹿。」
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「・・・」
ルイージは紅茶とクッキーが置かれたお盆を持ってキッチンに立っていた。
出来たから持って行こうと思ったのだが、
マリオとデイジーの会話が聞こえ、気になってそっと耳を傾けていたのだ。
「・・聞こえてるんですけど。」
どうしたらいいかわからないその呟きはキッチンの場に溶けていった。
紅茶の蒸気が顔に当たる、だから顔が熱いのだろうとルイージは思い込むことにした。
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甘酸っぺええぇえぇえぇ〜。
管理人にはこれが限界でした、糖分過多。
リクエストにあってるか微妙な出来になりましたが、これでもよければ貰ってやってください(滝汗)
相互記念、本当にありがとう御座いました!
涼子様より、相互記念のお返しに頂きました!リクは「ルイージとデイジーと、うらやましそうな兄さん」です!!
涼子様に頂きましたー!!!!
仲良しルイデジかわえぇええぇー!!空気読んだ兄さんイイー!
最後のルイージが超かわええぇええぇえぇ!!!!!!(落ち着け
涼子様、本当にありがとう御座いました!!!!(土下座
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