一年に一度、私の大切な人へ。
貴方に贈る、甘い想い
* 私の小さなスーパーヒーローへ
「別にぃ? 俺なんか朝一番にもらったしぃ? 姫は誰にでも優しいところが長所だし?」
「はいはい。何度も聞いてるよ兄さん」
ピンクの紙袋を見て嬉しそうに笑うデカイ亀なんて、気持ち悪いだけじゃないか。
手にしたチョコレートをぽりぽりぽりぽり。
あぁ、もう。本当は、もっと味わって食べたいのに!
「あのカメ調子乗ってるなまったく、後で乱闘でボコボコにしてやる」
「まぁまぁ。今日ぐらい大目に見てあげなよ」
「あぁそれにしても姫の作ったチョコレートはおいしいなぁ!」
勢いに任せてぽりぽりと食べていたせいで、早々にチョコレートが数枚なくなってしまった。
ラッピング袋の中から取り出したのは、手のひらに乗るほどの、ハート型の板チョコレート。
中には苺チョコレートの層が挟んであり、一口噛じると甘酸っぱい味が口の中に広がった。
彼女を思わせる、ピンク色のチョコレート。
「あー本当おいしいなぁ。この苺チョコレートがまたいいアクセントになってるんだ。本当、手が込んでるよなぁ」
「(あ、兄さんのチョコレートだけ苺味のチョコレートなんだ。……でも兄さん、気付いてないなコレは)」
呆れた様子でこちらを見ている弟に首を傾げながら、新しい一枚をぽりぽりと食べ進める。
今度は落ち着いて、ひとくちひとくちを大切に。
「あれ? 兄さんちょっと待った。そのチョコレート、裏に何か書いてあるよ」
「へっ?」
ルイージの言葉に、口元から離してチョコレートをみた。
たしかに、噛じりかけのそのチョコレートに、白のチョコレートペンでなにか書いてある。
『今夜、 で待ってま 』
「……」
「……」
「ル、ルイージ」
「……あーぁ、ちゃんと見ないから。僕、知ーらない」
「そ、そんなこと言うなよ!」
「自分で探しなよ。得意でしょ」
「見捨てるなって!」