宴も過ぎ、子供たちが夢を胸に眠りにつくとき……。
この夜に限り、世界は光に包まれる。
聖夜の想い
「……準備はいいか、ルイージ」
「うん。……やっぱり、なんか落ち着かないなぁ」
自らの身体を見下ろすルイージ。
その格好は普段とは異なり、赤を基調としたこの季節限定の服装、サンタの衣装を身につけていた。
普段着慣れない「赤」。兄のイメージカラーともいえるその色に、彼自身が違和感を抱いているようだった。
「まぁ確かにな。でもすぐ慣れるさ、ほら」
「うん……って」
苦笑気味のマリオから大きな白い袋を手渡されたルイージ。
が、その軽さに思わず絶句した。
「……なんで空っぽなのさ」
「いや、やっぱりサンタっつったら、プレゼントの入った大きな袋だろ?」
「だから! なんでその肝心のプレゼントがないんだよ!」
「それはコレだ」
ニヤリと笑いながら上げた右手。
いつもと何も変わらない、おそろいの白い手袋だ。
「何が……あっ!」
「そ。その場で欲しいものを創ってやれるって訳だ、マスターがな」
「年に一度の大イベントだからな! 任せろ!」
「マスター……。そんなサイズにもなれたんだ」
ヒラヒラと手を振るマリオの横で、早くも疲れた様子でルイージがうなだれる。
そんなルイージを横目に、笑いながら空っぽの袋を肩にかけた。
「ほら行くぞ。夜は短いんだ」
「はいはい」
ルイージは、自分がついていく必要が在るのか疑問に思いつつも、空の袋を肩に担いだ。