宴も過ぎ、子供たちが夢を胸に眠りにつくとき……。





この夜に限り、世界は光に包まれる。









聖夜の想い













部屋に入ると、とても優しい匂いがした。




「この匂いは……?」

「ふふ、ひまわりだよ」




普段から花の手入れをしているルイージが匂いだけで言い当て、たひまわりが部屋中に飾ってあった。

もちろん、ひまわりの時期はもう過ぎている。

壁に掛かっていたのはドライフラワーにされたひまわりだ。




「このドライフラワー、僕も作るの手伝ったんだよ」

「そうなのか。リュカは本当にひまわり好きだよな」




微笑みながらマリオがリュカの寝顔を覗き込む。

いい夢でも見ているのだろうか。どこか楽しそうな寝顔だ。




「さて、リュカの欲しいものは何かな」




ルイージとマリオが部屋の中を見渡した。








サンタさんへ

今年もまた、ひまわりの種をお願いします。

お仕事がんばってください!

リュカ









「「……優しいなぁ」」




二人の目の前にはクッキーとミルクが置いてあった。

ミルクも元々はホットミルクだったのだろう。

夜の寒さで冷え切ってしまったそれには薄く幕が張ってしまっており、でもほんのりと甘かった。




「やっぱりリュカは、うちの子たちの最後の良心だよなぁ」

「うんうん、ってさすがにそれは言いすぎじゃないかな」




一度は頷きつつも、思い改まってマリオに言うルイージ。

それに音も無く笑いながら、マリオは右手に力を込めた。

ポンッと音を立てて現れた小さな包みの横に、ルイージもクッキーの包みを置く。




「ありがとうリュカ。クッキーとミルク、おいしかったよ」











Merry X'mas
リュカ