宴も過ぎ、子供たちが夢を胸に眠りにつくとき……。





この夜に限り、世界は光に包まれる。









聖夜の想い













扉を開ける時、心なしか少し重く感じた。




「……ん?」

「どうしたの、兄さん?」

「いや……」




さして気にせずに扉を開く。

目の前に広がった部屋は……、別になんでもないただの部屋。

これまでいろいろ趣向を凝らした部屋を見てきたせいか、二人はどこか拍子抜けしてしまった。




「いや、うんまぁ、コレが普通なんだけどな」

「って、兄さん! ネス居ないよ!」




正面にあるベッドはもぬけの殻。

シーツが乱れた形跡すらなく、ベッドに入ってすらいないようだ。




「そんな、どこへ……」

「……っ!?」




声を上げずに、マリオがルイージの袖を引っ張る。

その目線の先には、扉脇でしゃがみこみ、毛布を体に巻きつけて寝ているネスの姿が。




「な、なんでこんな所で……?」

「大方、サンタを捕まえようって作戦だったんだろ。バットまで持ってるし」

「……確かに、ネスが考えそうなことだね」




だが、途中で力尽きてしまったのだろう。

規則正しい寝息が聞こえてくる。その寝顔には、やはりまだあどけなさが残っていた。




「よし、万が一起きてしまう前にさっさとプレゼント置いて出るんだ」

「あ、そういや居たな。マスター」

「何っ!?」

「し〜っ!」




音を立てないように部屋を見回すと、床に紙切れが一枚落ちているのが目に入った。

おそらく机の上にあったものが落ちたのだろう。











Merry X'mas, Santa!

僕としては、明日はかまくら作って雪だるま作って皆で雪合戦したいから、
雪を降らせて欲しいなぁ!

ネス









「めずらしい。ネスのことだから絶対モノを頼んでくると思った」

「いいいじゃない、ホワイトクリスマス」

「そうだな。叶えてやろう!」




マスターの言葉に合わせて、マリオが大きく手を翻す。

すると、急に肌寒くなり暗い窓の外には小さく白い影がヒラヒラと舞い落ちてきた。

マリオとルイージは顔を見合わせ笑う。

マリオが寝ているネスにもう一枚毛布をかけてやり、その横にルイージがクッキーの包みをそっと置いた。




ばれないように、二人はそっと部屋を後にした。









Merry X'mas
ネス