桃色のお姫様 と 赤色の英雄





 ありがとうの手紙
               〜たくさんのありがとう〜





屋敷の廊下を一人の女性が駆ける。

桃色のドレスをまとった彼女は、目的の人物を見つけると息を整えた。

一つだけ深呼吸して、その人物の名前を呼ぶ。




「……マリオ!」

「ピーチ姫!?」




彼は突然現れた彼女の姿に、驚きを隠せない。

いつもと少し様子が違うピーチに、マリオは心配そうに声をかける。




「姫? どうかしましたか? あ、またクッパですか!?」

「ち、違うわよ。これ」




おずおずと出したのは、薄紅色の封筒。

宛名には、ピーチ姫らしい華奢な字で『マリオへ』と書いてある。




「その、いつも助けてくれて、ありがとう」

「これ、オレに?」

「えぇ。私はマリオに書いたの。他の人に見られると恥ずかしいから、部屋で見てちょうだい」




それだけ言うと、ピーチ姫はまたパタパタと小さな足音だけを残して廊下を走っていく。

しばらくの間、マリオは手紙を手に動きを止めていた。




その日の朝、突然メンバーを集めたマスターが発表したのが、ありがとうの手紙企画。

全員強制参加で、誰かに手紙を書くということだった。




「……兄さん、どうしたの? フリーズして」

「……姫から、手紙もらった」

「うん、まぁ予想はしてたよ」




まだ放心状態から抜けきれないマリオの肩を叩いたのは、ルイージだった。

部屋で見てといわれたことも忘れて、上の空でその手紙を開いた。




























マリオへ



いつもいつも攫われる私を助けてくれてありがとう。

私だけじゃなくて、世界を救ってくれるのはいつもあなたです。

辛いこともたくさんあるでしょうに、……ごめんなさい。

あぁ、違ったわね。こういうときは、ありがとうだったわね。

初めて会ったあの時から、私の毎日は本当に楽しくなったわ。

だから、あなたに手紙を書くことにしました。

本当の本当に、ありがとう。



ピーチ=トードストール





































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