赤の兄 と 緑の弟





 ありがとうの手紙
               〜たくさんのありがとう〜





「良かったね、兄さん」




我にかえったマリオが振り向くと、そこにはルイージがいた。

慌ててピーチにもらった手紙を折り畳むマリオの顔は、はたから見ても赤くなっている。




「なななな!? いつからそこにいるんだよ!」

「いや、さっきからいたけどさ」




そんな兄の様子に呆れたルイージだが、次の瞬間空気がどんよりとしたものになる。




「……そんなに僕、影薄いかなぁ」

「そ、そんな事ないって! オレが悪かったよ!」

「まぁ、冗談だけどさ」




すぐにいつもの表情に戻ったルイージが、慌てたマリオに手紙を差し出す。




「よかったねピーチ姫にもらえて。はい。僕からも、これ」




笑顔で差し出すルイージの手紙を、きょとんとした顔でマリオが受け取る。

改めて手紙を見て、少し照れたように笑うマリオも、つなぎの胸ポケットからごそごそと何かを取り出した。




「……改めてお前から手紙をもらうのって、なんか照れるな。ほら、オレからも、これ」

「え、僕に?」




二本の指ではさまれた手紙。封筒も無く、四つ折りにされた簡素な手紙だ。

びっくりした表情でそれを受け取ったルイージは、手紙を広げる。




「兄さんのことだから、ピーチ姫にあげると思ってた」

「まぁそれも考えたけど、やっぱりな」




二人同時に、互いの手紙を開いた。




























兄さんへ



いつもいつも、お疲れ様。

兄さんが冒険に行くたび、僕はいっつも心配だし、少し寂しいけど、
それでも兄さんの頑張ってるニュースとか聞くとほっとするし、本当に誇らしいんだ。

よく、僕は『兄さんの影に隠れてる』って言われがちだけど、兄さんが元気に笑っててさえくれたら僕は平気だよ。

小さい頃はよくいじめられたりしたけど、そのたびに兄さんが助けてくれたんだ。

今でもたくさん助けられることもあるけど、兄さんは本当にかっこいいと思うよ!

本当に、兄さんが僕の兄さんでいてくれて嬉しいよ。


だから

兄さん、ありがとう。

僕の兄さんでいてくれて、今まで助けられた事も全部、本当にありがとう!



ルイージ



P.S なんか改めて手紙にするのって、なんか恥ずかしいね。

さらにP.S あ、でも無茶なことはしないでね。危険なことは程ほどに!




























ルイージへ



たまに旅先から手紙書いてるけど、こういうのは初めてだな。

ちょっとはずいから、短く済ますぞ。


結局あの後ドタバタして、まともに言えてなかったけど……。

亜空間でのこと、本当にありがとうな。

まさかまた、お前に助けられることがあるなんて思っても見なかったぜ。

でも、お前がオレや皆を助けてくれたから、タブーは倒せたし、今オレたちはこうして過ごすことが出来てる。

お前の兄として、本当に誇らしいよ。(だからもっと自信持てよ!)


それから、今回のことだけじゃねえんだけど、いつもいつも留守番させてごめんな。

でも、旅先から疲れて帰ってきたとき、あったかい家でお前が笑顔で出迎えてくれるのが本当に嬉しいんだ。

家を出てってもおかしくない歳なのに、本当にありがとうな。

オレの家族でいてくれて、本当にありがとう。

これからも、おいしいキノコ料理頼むぜ!



お前の兄さんより



P.S なんかこれ、読み返すと後半、奥さんにあげる手紙みたいだな(笑)
完全に主夫なってるぞルイージ!(笑)

さらにP.S なんだかんだで、結局長いな(笑)


































































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