皆を救った王様 と 王を支える騎士





 ありがとうの手紙
               〜たくさんのありがとう〜








「ない、無い無い無い!」




デデデ大王が自室の机の上を漁りながら、そう悲鳴を上げた。

元々青い顔が、さらに蒼白になっている。




「て、手紙が無いゾイ!!」




マスターに言われたから手紙を書いたが、アレは渡すつもりなんて無かった!

あいつに向かってありがとうだなんて、死んでも言えるか恥ずかしい!

手紙にだって、一回書くのがやっとだチクショー!

まるで荒らされたかのような机の上を眺めて、愕然とする。




「やっぱり無いゾイ……」

「どうかしましたか、陛下?」




突然背中に響く声に、ドキッとする。

おそるおそる振り返ると、そこではメタナイトが呆れた表情で部屋の中を見回していた。

ほっと胸をなでおろし、再び手紙探しを再開する。




「マスターが言っていた手紙がどっかに行ったから、探してるんだゾイ。お前、見なかったか?」

「あぁ。そういえば、先程ワドルディが手紙らしきものを持ってカービィを探してましたが、もしかして」

「何っ!? それは本当かゾイ!? ま、待て! ワァドルディィイイィ!!」




答えを聞くと同時に、デデデは指笛を吹き鳴らしながら大慌てて部屋を出て行った。

そんなデデデを見送りながら、やれやれと肩をすくめるメタナイト。




「……あんなのが大王だから、あの国は平和なのだろうな」




一言そう呟くと、マントの影から何かを取り出す。

高級そうな封筒に、華奢で優雅な字が並んでいた。

荒れ放題になってしまった机の一番上に、それをそっと置く。

もう一度だけその手紙を見て、静かに部屋を後にした。




























拝啓 陛下へ



桜も咲き誇り、この国の最も美しい季節がやってきました。

ここでの生活にも慣れたようで、安心いたします。



先日のタブーの一件、陛下のご活躍には大変感謝いたしております。

陛下のせいで私のハルバードが乗っ取られたことは抜きにして、陛下の作られたあのバッチ。

さらには、復活後の陛下の行動があったからこその今回の勝利。

正直、陛下のあそこまでのご活躍には驚きました。

心からのお礼を申し上げたいと思います。


本当に、ありがとう御座いました。


敬具

メタナイト卿











































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