二周年記念
胡蝶の夢
キッチンの目の前まで来てみたが、さぁどうしよう。
目の前のドアには、異様なことに電子盤が付いていた。
適当に押してみるか……と手を伸ばしてみたところで、ドアが内側から開いた。
「あれ? いらっしゃい。もうそんな時間だっけ」
両手に大皿を持ってにこやかに笑いかけてくれるのは、緑のエプロンに身を包んだルイージだった。
彼はキッチンにある時計をみて首を傾げる。
「ん? やっぱりちょっと早いかなぁ。それともこの時計壊れてるかな」
自分が首を左右に振ると、ルイージは大皿をシンクに置いて再び自分に笑いかける。
「じゃあ、僕がミルクティーを入れてあげるね。
そして、それ飲んだらそこの裏口から出て、また玄関から入ってくれるかな?
そしたらみんな喜ぶからさ。いいかな」
笑顔で言うルイージにつられ、自分も笑顔でうなずく。
すぐに温かいミルクティーと、できたてのクッキーを出してもらった。
「時間まで好きに居ていいからね」
再び大皿を手に取り、今度こそ食堂へ消えた。
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