5000hitお礼企画

ノベルゲーム
夏の夜の華







「ぼく、お化け屋敷行きたいんだ!」

「いいね!! 僕も賛成!! リュカはどうする?」

「ぼ、ボクは……」

「何いってんだよ! 行くぞ! お化け退治だ!!」

「ちょ、トゥーン、待ってよ!!」




そう言ってお化け屋敷を求め走り出すトゥーンリンク。

慌てて二人が後を追うと、目の前には既にお化け屋敷が迫っていた。

中からは、とんでもないような絶叫が響いている。

そのせいなのか、今度はさして並んでいるわけでもなく、ネスとトゥーンリンクの二人は勢いのままお化け屋敷に突入して行った。

先程しり込みしていたリュカは、仕方なく三人分の料金を払って後を追った。




「ネスさん? ……トゥーン? どこ?」

「リュ〜カ〜」

「うわぁ!!」




真後ろから声が響いて、小さく跳ねるリュカ。

後ろを振り向くと、先を走っていった二人がいた。




「な、驚いたじゃん!」

「入ってすぐに横に隠れて待ってたんだよ。一人じゃ怖いだろ?」

「そそそ、そんな事、無いよ!」

「声が震えてるよリュカ」




ネスが小さく笑いながら言う。

正直なところ、一人でこんなとこに来るのは怖かったので、二人が待っててくれたことに感謝している。




「よし、じゃあリュカも武器装着!」

「え、武器、ですか?」

「そうだよ! さっき取ったろ? ヨーヨー」




そういう二人の手には既にヨーヨーが付いている。

ネスは両手に、トゥーンリンクは片手に構えていた。

よく分からないながらも、同じようにしてヨーヨーを構えるリュカ。

その時、トゥーンリンクの後ろから白い手が伸びてきた。




「ひっ……!」

「トゥーン! 後ろ!!」

「来たな! これでも喰らえ!!」




ヨーヨーを、手を伸ばしてきたお化けに向かって放つ。

それは尋常ならざる動きと速さで、お化けの顔面に直撃した。




「がはっ」

「何してるのトゥーン!?」

「やりぃ! ……ネスも後ろ!」

「甘い! 二刀流!!」




左のヨーヨーを真横から、新たに出てきたお化けの腹に打ち込む。

その直後、右のヨーヨーで下からアッパーを喰らわす様に打ち上げる。

華麗に決まった。

……ヨーヨーは本来、真下に向かって遊ぶもので、決して上下左右に放つものではない。




「二人とも何してるのー!?」

「ほら、今のうちに先に進むよ!!」

「リュカ、遅れるなよ!!」




リュカの必死のツッコミも華麗に無視し、二人は先へと足を運ぶ。

途中でであったお化けたちも、二人は同じようにして撃退していった。




「ちょ、二人とも! これ本物のお化けじゃなくて、お化け役の人なんだよ!? 一般人だよ!?」

「だーいじょうぶだよ、リュカ!」

「あ、ほら、お前の後ろにも!」

「へ……? うわぁ!!」




後ろから同じようにして手を伸ばしてきた、井戸の白い着物を着た女のお化け。

その顔に驚いたリュカは、思わず手にしたヨーヨーを突き出した。

ヨーヨーの中で水が弾ける、いい音を響かせながらそれは顔面に命中。

予想以上の攻撃力に、女のお化けは仰け反って倒れてしまった。




「リュカすごーい!」

「やれば出来るじゃん!! ほら、次行こう!!」

「うわー! ごめんなさいー!!」



助け起こすことも考えたが、顔のメイクがあまりにも怖かったので、二人と一緒に走ってその場を離れた。




そのまま三人は、同じようなことを繰り返しながら外に出る。




「楽しかったー!!」

「今回の戦績は、リュカが計5体で一番だな! また負けたぁ」

「うぅ……、ごめんなさい」




心の中が罪悪感でいっぱいになったところで、三人のお腹が同時に鳴った。





そろそろ何か、食べよっか