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ノベルゲーム
夏の夜の華
「ぼく、お化け屋敷行きたいんだ!」
「いいね!! 僕も賛成!! リュカはどうする?」
「ぼ、ボクは……」
「何いってんだよ! 行くぞ! お化け退治だ!!」
「ちょ、トゥーン、待ってよ!!」
そう言ってお化け屋敷を求め走り出すトゥーンリンク。
慌てて二人が後を追うと、目の前には既にお化け屋敷が迫っていた。
中からは、とんでもないような絶叫が響いている。
そのせいなのか、今度はさして並んでいるわけでもなく、ネスとトゥーンリンクの二人は勢いのままお化け屋敷に突入して行った。
先程しり込みしていたリュカは、仕方なく三人分の料金を払って後を追った。
「ネスさん? ……トゥーン? どこ?」
「リュ〜カ〜」
「うわぁ!!」
真後ろから声が響いて、小さく跳ねるリュカ。
後ろを振り向くと、先を走っていった二人がいた。
「な、驚いたじゃん!」
「入ってすぐに横に隠れて待ってたんだよ。一人じゃ怖いだろ?」
「そそそ、そんな事、無いよ!」
「声が震えてるよリュカ」
ネスが小さく笑いながら言う。
正直なところ、一人でこんなとこに来るのは怖かったので、二人が待っててくれたことに感謝している。
「よし、じゃあリュカも武器装着!」
「え、武器、ですか?」
「そうだよ! さっき取ったろ? ヨーヨー」
そういう二人の手には既にヨーヨーが付いている。
ネスは両手に、トゥーンリンクは片手に構えていた。
よく分からないながらも、同じようにしてヨーヨーを構えるリュカ。
その時、トゥーンリンクの後ろから白い手が伸びてきた。
「ひっ……!」
「トゥーン! 後ろ!!」
「来たな! これでも喰らえ!!」
ヨーヨーを、手を伸ばしてきたお化けに向かって放つ。
それは尋常ならざる動きと速さで、お化けの顔面に直撃した。
「がはっ」
「何してるのトゥーン!?」
「やりぃ! ……ネスも後ろ!」
「甘い! 二刀流!!」
左のヨーヨーを真横から、新たに出てきたお化けの腹に打ち込む。
その直後、右のヨーヨーで下からアッパーを喰らわす様に打ち上げる。
華麗に決まった。
……ヨーヨーは本来、真下に向かって遊ぶもので、決して上下左右に放つものではない。
「二人とも何してるのー!?」
「ほら、今のうちに先に進むよ!!」
「リュカ、遅れるなよ!!」
リュカの必死のツッコミも華麗に無視し、二人は先へと足を運ぶ。
途中でであったお化けたちも、二人は同じようにして撃退していった。
「ちょ、二人とも! これ本物のお化けじゃなくて、お化け役の人なんだよ!? 一般人だよ!?」
「だーいじょうぶだよ、リュカ!」
「あ、ほら、お前の後ろにも!」
「へ……? うわぁ!!」
後ろから同じようにして手を伸ばしてきた、井戸の白い着物を着た女のお化け。
その顔に驚いたリュカは、思わず手にしたヨーヨーを突き出した。
ヨーヨーの中で水が弾ける、いい音を響かせながらそれは顔面に命中。
予想以上の攻撃力に、女のお化けは仰け反って倒れてしまった。
「リュカすごーい!」
「やれば出来るじゃん!! ほら、次行こう!!」
「うわー! ごめんなさいー!!」
助け起こすことも考えたが、顔のメイクがあまりにも怖かったので、二人と一緒に走ってその場を離れた。
そのまま三人は、同じようなことを繰り返しながら外に出る。
「楽しかったー!!」
「今回の戦績は、リュカが計5体で一番だな! また負けたぁ」
「うぅ……、ごめんなさい」
心の中が罪悪感でいっぱいになったところで、三人のお腹が同時に鳴った。
そろそろ何か、食べよっか