春のうららかな陽気の中






いつもと同じ






長い一日が始まる






 夜蝶
    01








 世界の一角で、大歓声が響く。




『さぁ!最後の大乱闘スマッシュブラザーズから、早7年!!
 元・スマブラメンバーのベテランヒーロー達による、春の特別試合開催です!!!』




 歓声よりも一際大きいナレーションの声と共に、何処からか大きなフィギュアがスタジアムに投げ込まれた。

 そのフィギュアが光を放つ。




『キノコ王国のヒーロー!所詮配管工のマリオー!!!!』

「一言余計だ!!『所詮配管工』って何だよ!!!」




 同様に、スタジアムの反対側から光を放つフィギュアが投げ込まれる。




『対するはー、プププランドを食い尽くす!?大食い星の戦士・カービィー!!!!』

「まだ食べつくしてなんか無いもん!」

「狽ワだって何だよ!!食い尽くす気満々だよコイツ!」




 気を取り直して、マリオとカービィは互いに向き合い、構える。




「…7年ぶりか。懐かしいぜ」

「ぼくこの7年でまた強くなったから、覚悟しといてね」 




 お互い待ちきれない、という風にニヤリと笑う。




『それでは…レディー・ファイト!!!!』




 先手必勝といわんばかりに先にマリオが動く。




「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ!!」




 言葉と同時に、マリオがカービィに向かってファイアボールを放つ。




「楽勝楽勝♪」




 カービィはマリオの突然の攻撃も難なくかわす。

 と、避けた先にマリオが一気に距離を詰めてくる。




「いっ!?」

「ジャンプパンチ!!」






 一撃目をかわしたカービィは、二撃目をかわしきれずに上方に跳ね上げられる。

 しかし、マリオはカービィがニヤリと笑うを確かに見た。





「っ!?」

「スキありっ!!」

「げっ!」





 カービィを突き上げたまま、空中で身動きの取れなかったマリオは、カービィが横に振るうハンマーをまともに喰らってしまう。




「くっ」

「あぁ、さすがにまだ吹っ飛ばないかぁ」





 少し残念そうなカービィが、再びマリオへと向かう。

 マリオもカービィを待ち構える。

 再び乱闘が始まった。











「あの二人楽しそうね。私も参加したいわぁ」

「今回はスマブラメンバーとしてではなく、一国の姫として来てますから。残念ですわ」




観客席から少し離れた所にある、特別席にピーチとゼルダがいた。




「そうなのよねぇ。ところで、今回リンクは来ないの?見当たらないけど」

「えぇ。リンクはまた旅に出ていて連絡が取れなくて…」

「あら、それは残念ね?ゼルダ」

「そ、そんなことはない、です…わ」




 顔を真っ赤にしたゼルダは、ピーチから目をそらしながら反論を試みる。




「そ、そちらこそ一人足りないのではありませんかっ?
 それともまたお一人で留守番させているのですか?」

「あぁ、ルイージね。ルイージは今サラサランドに出かけてるのよ」

「サラサラ…?」

「サラサランド。私の世界の国よ。そこの友達のお姫様と、ルイージがいい仲なのよ」

「ルイージさんがっ!?」




 ゼルダのその声に、スタジアムにいるマリオがちらっと目を向ける。





「よそ見してるヒマないよ!マリオ!!」

「うおっ!?」




 迫ってきたハンマーを緊急回避でさける。

 そのままポンプを取り出してカービィに向ける。




「っ!?」

「今回はオレ一人が相手じゃないぜ!そぉら、ポンプ!!」

「うわぁ!?」




 マリオの背中にあるポンプから、大量の水がカービィに向かって発射される。

 カービィはその勢いで、スタジアムから宙に浮く。




「むぅう〜!ファイナルカッター!!」

「あっ、ばか!!」

「へっ?」




 カービィの真下には着地点はなかった。




「うそぉおぉぉおぉおおぉんっ!!!」




 カービィはスタジアムに着地することなく、そのままの勢いで下に落ちていった。




「あ〜ぁ;」




 スタジアムの端からカービィの落ちていった方を眺めるマリオだった。










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