ごめん。実は





第一印象





あなどってた






 夜蝶
    14





「大丈夫か、猿?」

「猿じゃないっ!!ディディーなのサ!!」




命の恩人ともいえる狐に向かって、半ば条件反射のように返す。

『猿』と、一括りにされるのは嫌なのだ。

と、先程の巨大蛇がこちらに向かって再びエネルギー体を放ってきた。




「ディディー、俺の後ろに隠れてるんだ!!」

「えぇ!?でも」

「いいから!!」




狐はディディーが後ろに付いたのを確認すると、腰にぶら下げていた小さな何かを自身の目の前にかざす。

エネルギー体がぶつかる瞬間、それは大きくなり、二人の盾となった。

エネルギー体は跳ね返り、そのまま巨大蛇へとぶつかった。

巨大蛇は、苦しそうな声を出しながら湖に引っ込んでいく。




「やったのサ!すごいね狐さん!!」

「狐言うな。フォックスだ!」

「結局狐じゃん」

「違う!狐は種で、名前はフォックスだ!猿頭!!」

「猿頭じゃないのサ!!」




二人(匹?)が言い争いをしていると、再び湖面に波が生まれる。

勢い良く飛び出してきたのは、先程の巨大蛇だった。

その目は怒りに燃えている。




「…短気だなぁ」

「何のんきな事言ってるのサ!?余計怒らせちゃったのサ!!」




のんきな顔で見上げるフォックスと、抗議の声を上げるディディー。

そんな二人の会話なんて無視して、巨大蛇は突っ込んできた。




「フォックスー!!」




ディディーは身軽に、森の木々へと飛び移った。

しかし、フォックスはまだその場にいる。




「はっ!」




ギリギリまで引き付けて、軽やかに攻撃をかわす。

ついでに、その長い体の側面にブラスターを打ち込んでいった。




「すご…!」

「ブラスターは無事みたいだな」




ディディーは華麗に着地したフォックスを見て、感嘆の声を上げる。

狐のクセに、なんという身のこなしの軽さ。

そんなディディーの上空から、再び巨大蛇が突っ込んできた。




「アーウィンの方は…って、ディディー!上!!」

「へ?…うわわ!」




木の上から空中へジャンプして、その突進を避ける。

そのまま何処からか、小さな樽が二つ繋がった物を取り出して背負った。

樽が火を噴き、ディディーは空中に留まる。




「これでも喰らうのサッ!!」




地中へと潜っていく巨大蛇に向かって、これまた何処から取り出したのか、筒状の物から何かを放った。

それはあやまたず、巨大蛇の身体に当たって小さく爆発を起こしていく。




「あ、れは…銃か?」

「やっりぃ!!」




地上に降りたディディーがガッツポーズを決める。

フォックスは、そんなディディーを驚きの表情で見ていた。

猿の癖に、あんな物持ってるのか。それに銃の腕も…。

さすがに連続して身体に攻撃を受けたのはきつかったのか、巨大蛇が苦しそうに暴れている。

先程のエネルギー体を、手当たり次第に打ち始めた。




「危ねぇっ」

「うわわわわわぁ」

「ディディー!こっち来い!!このままじゃ、あいつの狙いがバラバラだ!!」

「そっちのほうが良いのサ!!」

「いいから来いって!!」




フォックスの声に、ディディーはエネルギー体を危なく避けながらフォックスの元へ行く。




「何なのサ!?これじゃあバッチリ狙われるのがオチなのサ!!」

「それでいいんだよ」

「は?」




ディディーの言う通り、二人が一緒にいるのを見つけた巨大蛇が再びエネルギーを溜め始める。

今までのものより、ずっと大きいものだ。




「わわわ、あんなの喰らったら…!」

「俺の後ろから離れるなよ」




二度目のその言葉に、ディディーはフォックスが何をしようとしているのか、気付いた。

巨大蛇から、大きくなったエネルギー体が放たれる。

それは一直線に二人の元へと向かった。




「リフレクター!!」




再びリフレクターを展開したフォックスの前で、それは止まる。

しかし、跳ね返しきれずにその場は膠着状態になる。




「ぐっ…」

「がんばるのサ!」




エネルギー体に押され、踏ん張るフォクスの背中をディディーが後ろから支える。




「「いっけぇえ!!」」




二人一緒に力を入れて、エネルギー体を押し返した。

それは、真っ直ぐに巨大蛇へとぶつかり、爆発を起こす。






断末魔を上げて、巨大蛇・レックウザが倒れた。









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