早くあいつを追わないと
助けないと
夜蝶
15
レックウザが地に伏せたのを見て、二人は息をつく。
「な、なんとか倒したのサ…」
「…疲れた」
二人して地べたに座り込み、空を仰いでいる。
まだ昼になったばかりだろうか。太陽が頂点に近いところをめぐっている。
思ったより時間は経っていない。
「そうだ!アーウィン!!」
「あ、待ってよフォックス!!」
しばらく空を眺めていたフォックスだったが、アーウィンの存在を思い出して立ち上がる。
そのままディディーに背を向けて歩き出そうとしたフォックスを、同じく立ち上がったディディーが引き止めた。
「おいらの仲間がでっかいカメに連れ去られたんだよ!一緒に助けて欲しいのサ!!」
「悪いけど、俺は他にやることがある。手伝ってやりたいが、時間がないんだ」
そう言って、フォックスはアーウィンに向かって歩き出した。
「あーぁ、酷いなこりゃあ。また借金が…」
「手伝ってやりたいんだったら、手伝ったら良いのサ!!」
「うおっ!?」
いきなり後ろに倒される感覚。
ディディーに後ろから引きずられているのだと分かった時には、時既に遅し。
どんどんアーウィンが離れていく。
「おい!こら、ディディー!!離せっ…」
「おいら一人より、フォックスにも手伝ってもらったほうが確実なのサ!!」
フォックスは抵抗を重ねるが、ディディーとてチンパンジーである。
その握力は尋常なものでなく、抵抗はむなしいものとなっていた。
「くっそ…」
「レッツ・ゴー!」
フォックスはそのまま、ディディーに引き摺られていった。
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